COVID–19肺炎と鑑別を要した造血器腫瘍に併発した急性呼吸不全の1例(A case of acute respiratory failure accompanied by a hematopoietic tumor differentiated from COVID–19 pneumonia)
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症例は55歳の男性,発熱と呼吸困難感を主訴に来院した。本邦では新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID–19)の市中感染が流行し始めた時期であった。来院時の胸部CTではCOVID–19を疑う両側のすりガラス影を呈したが,SARS–CoV–2 PCR検査は陰性であった。呼吸状態は増悪し,気管挿管・人工呼吸器管理とし,ステロイド投与を開始した。集中治療の結果,約2週間の経過を経て抜管することができた。経過中,SARS–CoV–2 PCR検査を計3回施行したがすべて陰性であった。抜管後から関節痛と紫斑が出現し,血球減少が進行,末梢血からは異型細胞が検出された。骨髄検査では,末梢血と同様の異型細胞が,皮膚生検では真皮中層を中心に血管内および血管周囲にCD79a陽性細胞が検出され血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B cell lymphoma: IVLBCL)と診断し,近医血液内科へ転院となった。IVLBCLを含めた造血器悪性腫瘍に随伴する急性呼吸不全とCOVID–19肺炎はCT所見でのすりガラス影が酷似することが示唆された。CT所見ですりガラス影を呈し,SARS–CoV–2 PCR検査陰性の場合は,造血器腫瘍も鑑別に挙げる必要がある。 A 55–year–old man visited our hospital with a chief complaint of fever and dyspnea. At the time, spread coronavirus 2019 (COVID–19) as community–acquired infection had begun in Japan. chest CT examination showed bilateral ground glass opacity (GGO) reminiscent COVID–19, but PCR test for SARS–CoV–2 was negative. The patient intubated placed on ventilator after his respiratory status worsened, systemic corticosteroid therapy initiated. After about 2 weeks treatment, he successfully extubated. During course tests were performed three times, all extubation, arthralgia skin rash appeared, hematopenia progressed, atypical cells detected peripheral blood. same identified bone marrow. Additionally, CD79a– CD20–positive around vessels He transferred to hematology unit diagnosis intravascular B–cell lymphoma (IVLBCL). Since GGO caused by IVLBCL closely resemble those associated COVID–19–related pneumonia, means differentiating “GGO” pneumonia that accompanying hematopoietic tumor is needed. 血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular IVLBCL)は全身の血管内に腫瘍細胞が増殖する節外性リンパ腫で,特異的な臨床症状に乏しく,診断に苦慮することが多い。臓器浸潤の一型として,肺野にすりガラス影を認めることがしばしば経験される。 2019年中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(coronavirus COVID–19)の肺病変は胸部CT検査にて肺野にすりガラス影を呈することが特徴的である。CT所見は感度が高いが,特異度は低いと報告される 1。 今回我々は,臨床症状,CT画像所見からCOVID–19肺炎を疑い人工呼吸器管理,ステロイド治療を開始したが経過中に紫斑や関節痛が出現し,最終的にIVLBCLと診断した1例を経験した。胸部CT画像所見が進行したCOVID–19と酷似した所見であり診断に苦慮した,教訓的な症例と考え報告する。 なお,本稿は倫理委員会の承認を要しない症例報告である。個人情報保護法に基づき匿名化されており,患者本人から論文の出版に関する同意を得ている。 患 者:55歳の男性 既往歴:十二指腸潰瘍 内服薬:なし 嗜好歴:喫煙歴;なし,飲酒歴;ビール1本/日 職 歴:学校教員 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:入院2週間前から37度前後の微熱が間歇的に出現し,1週間前より37度台の微熱が持続し近医を受診,アジスロマイシン500mg/日を処方された。その後,労作時の呼吸困難感が出現し当院を独歩受診した。来院時現症は,意識清明,呼吸数24/分,脈拍数142/分,血圧165/112mmHg,体温38.4度,経皮的動脈血酸素飽和度88%(室内気)であった。このときに採取した鼻咽頭SARS–CoV–2 PCR検査は陰性であった。血液検査ではWBC 9,800/µL,CRP 10.63mg/dLと炎症反応の上昇を認めた。胸部CTにて両側上葉から下葉にかけて広範囲なすりガラス陰影と左下葉の小葉間隔壁の肥厚を伴うcrazy paving patternを呈していた(Fig. 1a)。急性呼吸不全のため受診当日に入院となった。 Chest upon admission crazy pattern resembling COVID–19 (a). X–ray findings worsened second day hospitalization (b). Consolidation tended improve (c), again 13 (d). Thereafter, (e). 入院後経過:酸素2L吸入で入院したが,その後呼吸状態が急速に悪化し,第2病日にはリザーバーマスク10L下においても経皮的動脈血酸素飽和度は88~90%程度となった。胸部単純X線(Fig. 1b)は両側の浸潤影が拡大したため,同日に気管挿管,人工呼吸器管理とした。画像経過からCOVID–19肺炎を疑い,鼻咽頭SARS–CoV–2 PCR検査を再度施行したが陰性であった。同日から48時間の深鎮静管理,筋弛緩薬投与を行い,メチルプレドニゾロン80mg/日(1mg/kg/日)の投与を開始した。その他支持療法として,免疫グロブリン製剤5g/日,セフトリアキソン2g/日の投与と腹臥位療法を開始した。この間,第4病日に採取した気管支洗浄液でのSARS–CoV–2 PCR検査も陰性であった。また,各種感染症マーカーもすべて陰性であった(Table 1)。胸部単純X線での浸潤影は改善傾向であったが(Fig. 1c),第13病日に浸潤影が再拡大したため(Fig. 1d),メチルプレドニゾロンを160mg/日へ増量した。ステロイドへの反応性が良く,経過良好につき第17病日に抜管した。その後呼吸状態は安定し胸部X線所見は緩徐に改善を認めた(Fig. 1e)。 第22病日にステロイドをプレドニゾロン20mg経口投与へ変更した。その後38度台の発熱が持続し(Fig. 2),CRPは高値を保っていた(Fig. 3b)。抜管前の第16病日より四肢に点状紫斑が出現し第23病日より関節痛が出現したので,膠原病も鑑別に挙げ皮膚生検を施行する方針になった。また,入院時より認めていた正球性正色素性貧血と血小板減少に改善が得られなかった(Fig. 3a)。第19病日の血液検査にて,末梢血に核のくびれ,核小体を有する異常細胞が出現し,可溶性IL–2受容体は6,010U/mLと高値を示した。悪性リンパ腫を疑い,第30病日に骨髄穿刺を施行した結果,packed marrowであり骨髄検査では末梢血から検出されものと同様の異型細胞が同定された。骨髄生検と右大腿外側の紫斑から採取した皮膚生検では,真皮から脂肪組織の血管内部,周囲にN/C(nuclear/cytoplasm)比が大きく,核不整のある円形細胞の増殖を認めた(Fig. 4a, b)。真皮中層を中心に血管内および血管周囲に密に増殖する異型細胞はCD20およびCD79a陽性細胞であり,B細胞リンパ腫の所見であった(Fig. 4c, e)。骨髄にもリンパ腫細胞の浸潤を認めた(Fig. 4d, f)。リンパ腫細胞の増殖の場は血管外が優位であり,組織学的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫との鑑別を要するが,臨床所見を加味し最終的にIVLBCLと診断した。第33病日に化学療法目的に近医血液内科に転院となった。 Body temperature during hospitalization, P/F ratio management, corticosteroid, ceftriaxone, immunoglobulin dosage. PSL dosage increased because persistent fever. White blood count, hemoglobin, platelet LDH, CRP hospitalization. Histological views Sections stained hematoxylin eosin (a, b). Immunohistochemical staining using CD20 (c, d) CD79a (e, f). Round N/C observed (a) marrow An immunohistochemical study proliferation (c) CD79a–positive also proliferated (e) (f). All bars represent 50μm. 転院後,R–CHOP(rituximab/cyclophosphamide/ doxorubicin/vincristine/prednisolone)療法を施行したが2クール目施行前に複視が出現し,IVLBCLの中枢神経浸潤を疑いHD–MTX/Ara–C–R(high–dose methotrexate/citarabine/rituximab)療法を3クール,三者髄注(methotrexate/citarabine/dexamethasone)療法を3回施行した。しかしながら治療効果は持続せず,自家末梢血幹細胞移植を施行し生着に至った。その後全身状態は安定しており,現在は外来での無治療経過観察となっている。 IVLBCLは稀な疾患とされ,悪性リンパ腫の1%程度と推測されている 2。特徴的な臨床症状に乏しく,診断に苦慮する。本邦では,呼吸困難感を要するものは全体の約19%程度と報告され 2, 3,診断時には病勢が進行しており,集中治療管理を要することが多い。造血器腫瘍では感染性,非感染性を問わず,肺内病変を合併することが多い。なかでも,白血病が一番多く,悪性リンパ腫,骨髄異形成症候群が次いで多く 4,肺内病変としては感染症,肺胞出血,腫瘍細胞浸潤などが挙げられる。これらの病変はCT所見として,すりガラス影,多結節影など多岐に渡る。すりガラス影に関しては,病理学的に肺胞隔壁の血管拡張と血管周囲腔が腫瘍性リンパ球で満たされていることを意味する。診断は経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy: TBLB)を含めた気管支鏡検査が推奨されているが,IVLBCLは診断に苦慮することから剖検にて診断されることが多いと報告されている 5。 COVID–19の肺病変は,CTにおける両側肺野末梢を優位とするすりガラス影が特徴的とされる。発症から時間が経過するにつれ,すりガラス影が癒合し広範なすりガラス影を来すことで知られている。悪性リンパ腫とCOVID–19肺炎のCT所見には共通の陰影を示すことが報告されており,両肺のすりガラス影,小葉間隔壁や気管支血管束の肥厚が挙げられる。リンパ腫に関連した肺炎でCOVID–19肺炎に比べすりガラス影がよりびまん性であり,CT halo signやreversed signが散見される 6。本症例では広範なすりガラス影の内部に小葉間隔壁の肥厚が見られ,両者の鑑別は困難であったと考える。 本症例は,本邦での第1波期間中の発症であり,まず想起すべき疾患としてはCOVID–19をはじめとした呼吸器感染症である。現在,発熱や呼吸器症状を呈した患者をERで診察すればまずCOVID–19を鑑別すべきである。同臨床症状を有する患者に対しては,SARS–CoV–2 PCR検査に加え,多くの場合CTが実施されている。CTにてCOVID–19に典型的な陰影を認めた場合,たとえSARS–CoV–2 PCR検査が陰性であったとしても,COVID–19肺炎疑似症として治療を開始せざるを得ない。 「COVID–19」と「造血器腫瘍」もしくは「IVLBCL」をキーワードに医学中央雑誌,PubMedを検索したが該当する論文はなく,鑑別に苦慮した報告例はなかった。実臨床においては,身体所見,画像所見からCOVID–19を疑ったとしてもPCR検査陰性が続く症例も時にある。今回の我々の経験は,パンデミックが続く中でCOVID–19肺炎像と造血器腫瘍による間質性肺炎像は酷似する可能性があることを示しており,CTですりガラス影があったとしてもSARS–CoV–2 PCR検査が陰性であった場合は造血器腫瘍による間質性肺炎を念頭におく必要が示唆された。 治療に関しては,造血器腫瘍に伴う間質性肺炎では,初期治療としてステロイドが投与され,呼吸状態が改善する症例報告が散見される 7, 8。本症例に対しては重症COVID–19肺炎疑いとして全身投与したメチルプレドニゾロンが奏功し,急性呼吸窮迫症候群にまで進展した呼吸不全は人工呼吸器を離脱するまで改善させることができた。 今回,IVLBCLにおける肺病変がCOVID–19肺炎と画像上酷似した症例を経験した。COVID–19肺炎を疑ったが,典型的な経過をたどらない際には本疾患を鑑別に挙げ精査を行うことが正診につながると考える。発熱に加え肺所見を呈する症例で,SARS–CoV–2 PCR検査が陰性の場合には関節痛などの身体所見を見直し,血液疾患の存在を疑うべきである。さらなる血液検査,皮膚生検,骨髄穿刺による精査を行い,造血器腫瘍を鑑別することが肝要であると考えられた。 COVID–19肺炎のCT所見は,造血器腫瘍による肺病変のCT所見と酷似する場合があり,SARS–CoV–2 PCR検査が陰性の場合には両者の鑑別を要すると考える。 本症例に関して利益相反はない。 本論文の要旨は第49回日本救急医学会総会・学術集会において発表した。 本論文の作成にあたり,助言をいただきました慶應義塾大学医学部血液内科 清水隆之先生,平塚市民病院内科 片山順平先生に深謝致します。転院後の経過などにつきご教示いただいた平塚共済病院血液内科 大林由明先生に深謝致します。
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ژورنال
عنوان ژورنال: Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi
سال: 2023
ISSN: ['0915-924X', '1883-3772']
DOI: https://doi.org/10.1002/jja2.12821